5.
模様とイラストの違い(構造のはなし)
自分の場合、美術大学などに通って感じた美術教育の弊害があって、考える前にあれが良くてあれは良くないよね、と考えたり感じる前に「これが正解」と言われたこと。今回伝える側になって、考えたり感じることを先に奪いたくないなと予々感じます。
その正解にも大きく分けて2つあって、文学的な「最適解」と、数学的な「絶対解」というもの。ちなみに「最適解」は無数にある答えのうち、どれかが最も適した解、答え。それに対して「絶対解」は決まった答えが1つ。デザインなどの芸術分野は、絶対解が少なく最適解が多いけど、その最適を自分で探して欲しいです。
一方、交通標識のような危険や安全を伝えないといけない絶対に近い解、答えは先に伝えないと。という気概で交通整理担当が僕の役目です。
そんな中「模様とイラストの違いって何ですか?」と質問がありました。違いはね、とリピートなど反復柄など生産性について説明した上で、違うものだよという他の先生もいました。僕は同じものですと伝えました。差異はあれど、同じ絵だと思います。
その差を考えて欲しいけど、伝えたいことを先に言うと「外へ広がりがあるものが模様。見る人の視線を集め注意を誘うようなものがイラスト。」と伝えました。でもあくまでも同じ絵だと思います。
- サーフェスとイラスト、効果・構造で考えると
- 視線など画面外の空間へ広がり包み込むものが、模様や柄、サーフェス。それによって人は、心地良さや高揚を与えます。ひとことで、健やかに生きるためのもの。呼吸のようなもの。
- 画面の中で注目や視線を集約的に誘うものがイラスト。それによって情報を正確に伝えるとか、注目させるための手段。ひとことで注意喚起や情報伝達の訴求を担うもの。
大袈裟にいえば、両者安全に生きていくために無駄に近い絶対に必要なモノ、だいぶ大袈裟だけど、生死に関わる目的化された役目を持ったモノ。